オリバー・ツイスト2006/02/05 16:55

〈オリバー・ツイスト〉  ロマン・ポランスキー監督

世の荒波にもまれながら、その生まれながらの純真さを失わ
ぬために起こる苦難の物語。ディケンズの原作を文学史的に
述べれば、物語はこんな具合なのであるが、長編なので、
2時間20分にどのようにまとめるかが腕の見せ所である。
オリバーを陥れるべくブラウンロー氏宅に押入るところが、原
作とは異なって来ても、展開にスピードがあり、楽しめる。

ディケンズ的テーマである富める者や力のある者による貧者・
弱者への人間愛的な救済も描かれ、凶暴なビル・サイクスへ
は神の裁きが下される。オリバーを救おうとした愛人ナンシー
が彼により撲殺されるから、これは分かりやすい。

ところが、フェイギンのほうはそうでもない。
人の裁きで絞首刑が決まりニューゲート監獄に収監されてい
た、そこへオリバーが会いに行くところへ話が飛んでしまうか
らである。イギリス史に詳しければ、見ただけで分かるのかも
しれない。しかし、フェイギンは既に気が触れているのだが、そ
の原因がよくわからない。彼は、子どもなら油断するだろうとい
うところから少年窃盗団を組織して、子ども達を消耗品なみに
使っていた。計算づくの人間が死刑になって、精神錯乱に陥る
のであろうか。それとも、やはり、サイクスへの神の意志を見た
故なのであろうか。

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