阪神大震災メモ #42014/03/31 20:30


「予知を目指す地震考古学」(寒川旭、読売新聞夕刊
 1995年3月24日)



「(地質調査所の研究者と共同で淡路島の地質図を作成し
た過程で)野島断層の位置と、活動の仕方までは把握でき
た。しかし、活動の時期を予測することには力及ばなかった。
それぞれの活断層が、将来、いつ頃活動し、どのような被害
が生じるかを考える。これが次の段階での研究目標である。
このためには、各断層ごとに活動の歴史を把握することが必
要になる。」

それには、(1)トレンチ調査で地層の食い違いを比較する、
(2)古文書分析、(3)地震考古学の方法が必要になる。

「淡路島から神戸、さらに、大阪平野北縁を経て京都盆地に
至る一連の活断層があり、現在注目されている。兵庫県南部
地震はこの活断層の西端で発生した。一方、(1596年の)(慶
長)伏見地震は、この地域の東ー中部の被害が顕著で、それ
が西部にも及んでいる。今回の地震を理解するためには、四
百年前に発生した伏見地震について詳しく知ることが必要で
ある。その理由は、この二つの地震が同じ活断層から発生し
た可能性があるからである。」

寒川さんという方は、通産省工業技術院地質調査所近畿・中部
地域地質センター主任研究官なる肩書でこれを書いておられま
す。

そこで、補助線を引いてみます。地震発生の約半年前に書かれ
ています。

「不可能な地震予知より防災研究を」(R.ゲラー、『現代 ’94.9』)

「竹内均東大名誉教授のように地震予知自体を疑問視する見方
は、十数年前からありました。・・・そもそも、日本人はマスコミを含
めて、地震学者の最大の義務は地震の予知だといまだに思っている。・・・しかし最近の研究によれば、地震予知は不可能であると
の結論が出ている。それは、無数に発生しているごく小さな地震
のうちから、ごく一部が連鎖反応として大きな地震に広がる。つま
り、大きい地震も小さい地震も発端は一緒だということ。前もって
大地震を予知することなどできるわけがないのです。」


「地震予知計画は、大きい地震の前には特定の前兆現象がある
ということが前提になっている。・・・残念ながら三十年たったいま、
まったく成果が上がっていない。」

「(表に出てくる意見がこれと異なるものが多いのは)予算獲得の
ためには予知研究というのは最も受けのいい理由だからです。
・・・地震学者にとっても地震予知が予算を引き出す「打ち出の小
槌」になってしまったんです。・・・(しかも、)
「予知」研究は「談合」のように行われています。つまり、特定の
「指名研究者」のみが参加できるのであって、誰でも自由に研究
計画を申請することができるわけではありません。」

ゲラーさんは、東大助教授、専攻地震学なるお立場です。地震
予知に関しては、『公認「地震予知」を疑う』(島村英紀著、2004
年)を薦めます。

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