阪神大震災メモ #132014/05/05 19:10

「1.17書かれざる首相官邸」
(麻生幾、『文藝春秋'95.3』)

(時間系列に関する記述は引用符を略して引用する)
午前5時46分  発災
午前7時    首相起床
午前8時前   公邸出発→ホテルオークラ(味の素名誉会長との
朝食会)
午前9時19分  官邸に戻る
午前9時20分  月例経済報告関係閣僚会議
午前9時50分  警察庁から初めて被害の具体的情報発表:「死
者22人、負傷者222人」
午前10時    兵庫県知事から自衛隊に対して出動要請
午前10時4分  定例閣議
午前10時39分 防衛庁長官と官房長官らが官邸入りして対応協議
開始
午前11時5分  21世紀地球環境懇話会
午後12時7分  政府与党首脳会議
午後2時7分  首相執務室にて、国会施政方針演説検討会(河野
副総理、武村蔵相、羽毛田主席内閣参事官)
午後4時    阪神大震災緊急記者会見

「新聞では『政府の対応が決まってから記者会見をした方がいい、
とする事務方の反対を押し切り、自ら陣頭指揮をとる決意を示した』
などと首相リーダーシップにエールを送っている。しかし事実はまった
く逆で、実は村山首相は、記者会見を翌18日の午後にセットするよう
事務方に指示していた。それがなぜ急に開かれることになったかと
いうと、後藤田正晴元副総理や自民党の重鎮二人から村山首相に
直接、電話が入ったからである。
・・・(首相は)親に叱られた子供のようにしゅんとなり、あわてて記者
会見を開くことになった、というのが真相である。」

「今回の大震災では、官邸にとって不運な出来事があった。こうした
災害の場合、・・・関係省庁から報告を受け、かつ指示する役目は、
警察庁から出向している首相秘書官が負うことになっている。ところが、金重首相秘書官は当時、たまたま父親の葬儀のため、福岡県小
倉市内の実家に帰っていたのである。・・・問題は、バックアップ態勢
がなかったことだろう。
金重秘書官が不在なら、自動的に大蔵省から出向している内政担
当の秘書官が首相の「災害担当補佐官」となる。・・・今回の「災害
担当補佐官」が当初、情報収集を必死に行った形跡はみられないし、首相や官房長官もそれを指示していない。」

《気象庁の動静》

午前6時5分 「地震情報第1号」緊急FAX→国土庁、気象庁
(第1号の内容は<京都などで震度5>)

「この第1号FAXは、国土庁に詰めている情報連絡要員といっても、
その実体は民間警備員である。その民間警備員から、コンピュータ
ーに自動的に組み込まれたシステムによって国土庁主要幹部の自
宅の電話とポケベルが一斉に鳴らされ、緊急招集がかけられた。」

午前6時19分 「地震情報第2号」→国土庁、気象庁
(内容は<神戸、淡路島は震度6>)

《防衛庁の動静》

午前6時  中央指揮所から緊急第1報(電話)→防衛庁主要幹部
陸上自衛隊中部方面総監部方面隊「第一種勤務態勢」
午前6時30分  同隊、全隊員非常呼集と同時に「第三種非常勤務
態勢」中部方面航空隊、小型観測ヘリコプター2機が被災地上空を
飛ぶ(手持ちビデオによる撮影)
午前11時  災害対策関係省庁会議(22省庁の被害情報交換)で、
防衛庁は情報発表せず。現地情報を上げたのは、気象庁、消防庁、
資源エネルギー庁と郵政省だけ。・・・(上げれば)いいというもの
ではない。例えば、消防庁のそれは、「死者1人。負傷者54人。道路
5箇所。水道断水132戸。電気停電210戸」であった。

「駐屯地に帰ってきた偵察ヘリ要員、撮影したビデオカメラを机の
上に置きっ放しにして別の場所に行ってしまった・・・関東地域での
大災害の場合は、偵察ヘリが撮影した映像が、・・・中央指揮所に
自動的に送られ、指揮官はリアルタイムで被災地の状況を見るシ
ステムになっている。ところが関西地域はこのシステムがまだない
ため、航空機などで緊急に運ぶ必要があった」

午後3時  同テープ東京着

《警察庁の動静》

午前6時30分 地震災害対策室設置、大阪府警本部と兵庫県警
本部に機動隊出動命令発令

「大阪府警本部と兵庫県警本部、さらに徳島県警本部から、偵察
のためのテレヘリが現地に飛んでいた・・・このテープも十七日中
には警察庁に届けられていない。テレヘリは、東京ならすぐに警察
庁四階のオペレーション・ルームに電送され、警備担当者は大き
な画面でリアルタイムで被害状況を見ることができる。ところが、
関西にはまだシステムが完成していないのです」


以上に付け加えると、警察庁は独自のマイクロ回線を有し、大地
震でも破壊されず、通信に支障はなかった。けれども、現場の警
察官は想像を越える被害に遭遇し、救助活動にすべての労力を
割いてしまった。消防庁は災害時優先回線は確保されていたが、
現場の自治体が機能していなかった。また、衛星通信回線は10
時から13時まで不通。さらに消防防災無線は現地停電で使用不
能であった。
このような状況であったればこそ、首相が指示を出さなければな
らなかった
のである。

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