循環生理学者が伝えたいこと2018/01/02 15:44

  from 西田育広『125歳まで生きる方法』

老化と寿命(125歳)>

細胞が年々老化していく:

老化要因の中で最も影響が大きのは「活性酸素」です。
活性酸素に長年さらされている内に、次第に細胞が損
傷し老化していきます。また、遺伝子の中にも老化を促
す遺伝子があると考えられています。
あったものが失くなっていくだけでなく、反対に不要なも
のが蓄積していくことで、起こる老化もあります。
アルツハイマー型認知症(脳)、動脈硬化(血管)

活性酸素:

ミトコンドリアがエネルギーをつくる際に使う酸素を自ら
の細胞の中に取り込むことを行いました。酸素は容易に
活性酸素を産生します。活性酸素は核膜や遺伝子を損
傷させてしまう。また、核だけではなく、細胞を守っている
輸送蛋白質(※)や細胞膜までも障害してしまう。
このため、活性酸素の産出量が多い生物ほど、その寿命
が短いのです。・・・酸素産生量は代謝率に比例しています。
代謝率が高いほど活性酸素が多く出て寿命は短くなる。

(※)輸送蛋白質は必要に応じて、細胞の入口を開けます。
例えば、KとNaを入れ換える蛋白質は、こういう条件でなら
入れる、と厳しく決まっています。この輸送蛋白質が故障す
ると細胞の中のNaとKを入れ換えられない状態になり、細
胞は生きていけなくなります。

損傷した細胞が複製されることで老化がすすむ:

年々、確実に死に近づく「死の法則」(ゴンペルツの法則):

年齢が8年増える毎に死亡率は2倍になっていく。
(例)90歳の人の死亡率は10歳の人の1000倍

細胞分裂の限界が生命の限界:

正常な細胞は約50回ほど分裂したところで死んでしまう。
例外として、神経細胞や心筋細胞のように分裂せずに生き
続ける細胞もありますが、・・・細胞や脳などの主要なところ
の細胞が死んでしまうと、本体もいけなくなります。

「テロメア」:

螺旋状に折り畳まれているDNAが解け棒状になった、その
先端にあるテロメアが、細胞分裂を繰り返すたびに短くなって
いくことが分かりました。完全に消滅すると、その後はもう
分裂ができなくなります。

細胞分裂のたびに短くなってしまうテロメアが必要なのは、
一個体の命に限りをつくってでも、生物としての進化を優先
したからです。

痩せているよりも太っている方が長生き?

体脂肪はそれほど悪者ではありません。一般的にBMI=22
くらいが標準とされていますが、生理学者からすると「25」
くらいが望ましい思います。
その理由は、BMIは鍛えた仏人兵士のデータを基に作成さ
れているからです。
加えて、脂肪が持つ力・・・生命維持に重要で、「命の予備力」
と言えるでしょう。
実際、BMI >25 の高齢者のほうが長命です。

その一方で、食べ過ぎが良くないことも分かっています。
どの生物も食事を削ると長生きします。
最大の理由は活性酸素です。食べたら食べた分だけ、消化
吸収するために酸素を使います。すると、1万分の1の確率
で活性酸素が発生してしまいます。(運動も同様)

運動と食事と寿命の関係では、適度な運動をして、食事を制
限(食べすぎないこと)したほうが寿命が長くなります。
生理学でアンチ・エイジングはありません。サクセスフル・エイ
ジングを目指しましょう。