窮屈な天国・日本 #22019/01/15 13:04

from ibid.

>「知的退化」はいつ始まったか

堺)「天国」の支配ルールというのは、天国の中で例外を認めな
  い。・・・日本の官僚社会には、地域格差の是正、情報格差の
  是正、学校格差の是正等々、格差の是正はすべていいことだ、
  と真剣に信じている人が圧倒的に多いんです。

  ・・・ 日本人のどこかに、役人に決めてもらったふが楽だとい
  うところがある。規制されていれば、自分で判断する必要がな
  い。自分で判断する必要がなかったら責任を取ることもないし。
  ・・・ 

池)それは、官僚や教師に倫理をあずけるという一種のピューリタ
  ニズムであり、クロムウェル風の神聖政治ですね。あずけてし
  まった以上、何をされても文句は言えない。その国民の側の
  だらしなさ・・・知的退化はどこから出てきたのか。
  
堺)根源まで遡れば、徳川吉宗あたりからでしょう。・・・経済成長        が止まり、技術進歩がなくなり、投資の対象が減って、人口が
  増えなくなった。亨保時代から、限られた資源と土地の中で
  いかに暮らすかということが問題となった時に・・・
  歴史的にはそうなんですが、問題は1970年代以降の、今我々
  が直面している規制強化だと思う。・・・70年代になってから
  さらに官僚の規制が強くなったというのは、実に不思議。
  しかもそれに対する反発はほとんどなくなる(60年安保、60
  年代末の学生運動)。

>「崩れた社会主義」の国

池)これは最悪の社会主義ではないかと思う。・・・日本の官僚主
  義というのは社会主義の悪い面だけを拾い上げたものではな
  いか。マスコミが迎合しているのも、異論が出ないのも、みんな
  が平等というのも、これは末期ソ連の状態に似てはいないか。
  これでは本当に出口がない。国のあり方として、居心地が悪く
  なるのも仕方がないという気がします。

堺)ところが、その中にいると、今度は外へ出るのが怖くなるんで
  すね。・・・ 戦後の日本が勇気とか冒険とか覇気といった徳目
  をなくしたから・・・勇気を奮うなんてバカのすることで、無謀と
  ほぼ同義語になっている。反対に臆病が慎重と言い換えられ
  て善になる。
  それでも冒険するのは、いわば落ちこぼれかスピンアウトした
  人だけです。体制の中での優等生は、そんなことはやらない。
  小学校の時代からそういう具合に教えられ、そういう人がエ
  リート学校へ行き、エリート大学へ行き、エリート企業へいくも
  のだから、巨大なマスコミ、巨大な企業、巨大な政府機構とい  
  うのは全部、冒険しない体制内優等生が主流になる。

池)今、子供たちは何か非常に居心地の悪い社会をつくっていて、
  それがいじめを生んでいる。非常に冷やかな、他人の思いを
  知らない子供たちばかりが増えている。・・・同胞なき子供たち
  に温かい倫理を注ぎ込むことは多分できないでしょうから。
  この先、そういう冷やかな、共感と同情なき競争社会で人は
  生きていかなければいけない。

堺)歴史的に見て人口が激減した時代はいつかというと・・・
  紀元1世紀から4世紀です。当時の先進地域人口が激減し
  た。ローマ帝国の末期、東洋では、三国志から晋の時代が
  人口激減期・・・それはどうやって解決されたかというと、
  民族大移動なんです。西洋ではゲルマン民族の大移動、東
  洋では五胡十六国のような、当時は蛮族とか胡族とかいわ
  れた異民族がどっと入ってきたことで解決される。その間に、
  先進地域で栄えた古代文明は崩壊してしまいます。
  ・・・日本もやがて大量の移民を入れざるを得ないという気が
  しますね。

池)・・・人が自由に動くことは止めようがありません。一国純血
  主義を守ることはできないでしょう。どこかで覚悟を決めて、
  言ってみれば隣近所の南北問題と取り組まなければならな
  い。これはノウハウの習得である。世の中には違うことを考
  えている奴らもいっぱいいて衝突もあるけれども、しかし最
  終的にはどこかで融和できるはずだ、というような考えをこ
  れから身につけなければ、日本の社会は老化と自家中毒に
  よって内部からだんだん崩れてくると思いますね。

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