窮屈な天国・日本 #32019/01/16 15:43

from ibid.

>固すぎる国家の枠組

堺)私は、食糧安保というのは輸入を確保することであって、日本
  で農業生産することではないと・・・農水省のいうように日本の
  農業を保護して食糧安保ができるなど真っ赤な嘘で、私達の
  世代は人口7千万人のときにできないことを充分経験している
  んです。まして1億2千万人の今できるはずがない。その上に、
  石油のない国で今の農業を保護しても意味がない。・・・輸入市
  場として日本が安定市場であることを世界の食糧生産者に示す
  のが何よりの利点なんです。

  日本が食糧安保とか消費地精製主義とか、いかにも日本だけ
  で暮らせるようなことを言ったのは、特定業界と官僚権限の
  維持以外の何ものでもない。それにはもう、私たちは20世紀の
  前半に繰り返し繰り返し騙されたんです。例えば、「満蒙はわが
  生命線」と言った。・・・ところが日本経済は、満蒙がなくなってか
  ら大発展したんです。あれはまったく満蒙に権限を持っている
  一部の産業人とそれに寄り掛かって軍備を拡張しようとした官
  僚たちの悪宣伝だったんですね。

  国際化とボーダレス化の違い・・・国際=インターナショナルと
  いうのは、先ずナショナル(国)があってインター(際)なんです。
  ボーダーレスというのは、国の垣根がどんどん下がることです。
  では、その垣根がどんどん下がるから全部なくしていいかとい
  うと、やはり文化の違い、言語の違い、それに基づく人間の移
  動、そして安全保障という大問題が残ります。だから国は無視
  できない存在ですが、経済に関する限り、この垣根はどんどん
  下がるし、下がらざるを得ない。・・・

池)ぼくは二つの方向へ国が少しずつ緩んでいけばいいと思って
  いるんです。一つはボーダレス化です。経済的にはお互いに
  融通ができるようになって国際的な分業が進む。
  もう一つは、国の中での地域ごとの違いがもっと際立ってくる
  といいますか、国内側を同じ色に染めるやり方が崩れて、こ
  の地域はこの地域のやり方、という姿勢がもっと前は出てくれ
  ばいいと思う。そういう意味では、国家という枠組みが、今は
  まだ中に対しても外に対しても固すぎる。

>そして「個性」は敬遠される

池)日本では、この20年ぐらい、地方の振興論いうのは全部中
  央に対するおねだりでしょう。・・・

堺)・・・70年代になって地域格差是正という言葉が出てきた結果、
  各県知事、各市町村首長が霞が関へ来ると、自分の故郷が
  いかに悪いかを言い募る競争になった。・・・平均以下だと補
  助金をくれる・・・おねだりというか、誇りのない行政にした。こ
  れが地域格差是正の一番の欠点です。ですから、官僚的な
  人が増えたのも問題ですが、官僚的な人に巻かれる人が増
  えたのが、最大の悲劇なんですね。・・・官僚的なことに抵抗
  しないことが利口だという風潮がいけない。

池)子どもがみんなそういう勉強をしています。自分の中にある
  物差しではなくて、社会が提供する共通の物差ししか持たな
  くなってきた。・・・右顧左眄社会だから。
堺)やはり戦後教育が「成果」を上げたということことでしょう。