セネカ#22020/06/16 08:02


>手紙30:死を前にしたバッスス

 あの傑出した人物(バッスス・アウフィディウス)が、老年と
 戦いながら、衰え果てているのを僕(セネカ)は今見ている。
   ※ バッススは、節度ある悦楽と魂の落ち着きをもって
      幸福とするエピクロス派に学んだ歴史家
 
 おそろしく重い、圧倒的な重量で老年が彼の上にのしかかっ
 ているのだ。しかし、我々の友人バッススは、にもかかわら
 ず精神的に実に活き活きしている。哲学がそうさせている
 のだ。死に直面しながら晴れやかで、肉体がどんな状態に
 あろうと、陽気で、悦ばしげ、体力は衰えても気力は衰えな
 い。
 優れた操舵手は、帆は破れ、索具は失われても、それでも
 船体を正しく航路通りに運行させる。我々のバッススのやっ
 ているのもまさにそれなのだ。そういう心境と表情で彼は
 自分自身の最期を見ているのだ。

 他人の死を見るように平然と自分の死を見ている・・・長い
 間の修行があるから、今あの時が、避くべからざる時が来
 ても、落ち着き払った心境でそれを迎えられるのだ。

  「死はあらゆる苦悩から遠く離れているので、苦悩に対
   する如何なる恐怖からも遠く離れている」

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