母親の鬱病2021/01/21 06:05


      from 『シックマザー』(岡田尊司)

>鬱病は頻度の高い疾患であり、ことに女性、中でも
 産後期の女性が罹りやすい、繰り返しやすい反復性
 の疾患であり、慢性的な経過をたどることも多い。
 気分が沈み、意欲が低下するだけでなく、考え方や
 受け止め方も悲観的で後ろ向きなものとなりやすい。
 活動性は低下し、本来なら簡単にできていたような
 ことさえ、行うことが困難になり、著しい苦痛を伴う
 ようになる。体がだるく疲れやすく、顔つきも表情が
 乏しく、反応も鈍くなる。本来なら喜びとなることに
 も関心が湧かず、喜びとして感じられない。

 母親の鬱は、親としての能力を低下させてしまう。
 子どもは本来なら受けられる世話を受けられなく
 なるだけではなく、子どもに向けられる関心や愛情
 表現も乏しくなりがちだ。子どもは健全な発達のた
 めに母親からの愛情のこもった関心や反応を必要
 としている。それが十分に与えられないと、愛着形
 成や認知的発達に支障が出るばかりか、自己肯定
 感や健全な自己愛の発達が損なわれやすくなる。

 母親は保護してくれる存在であると同時に、手本と
 して学ぶ対象でもある。母親が臥床がちで、家事も
 できず、ふさぎ込んでいる姿を見せられることは、
 子どもにとって行動モデルを取り込み、健全な行動
 パターンを学習する上でもマイナスである。
 子どもは母親の状態をネガティブに受け止め、母
 親に対して本来育くまれる尊敬や愛情を育くむこと
 ができず、健全な母親像、女性像を獲得することが
 できない。
 さらにもう一つ危惧すべき影響は、母親が抱きや
 すい悲観的でネガティブな人生に対する態度や 
 受け止め方を、知らずして採り入れてしまうことで
 ある。母親の否定的な見方に縛られると、人生を
 実際以上に困難なもの、苦しみにばかり満ちたも
 のと見なす過度な悲観主義に囚われ、本来の喜
 びに満ちた人生を味わうことに諦めや罪悪感を抱
 いてしまうこともある。・・・母親の鬱という病気の
 結果の「悲観的な考え方」であり、それは現実と
 は違っていることを、子どもに話して聞かせ、母
 親の考え方に取り込まれないような配慮が必要
 である。

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