神社とはなにか?2006/04/10 17:34

第54回歴博フォーラム『神社とはなにか?』
より、三浦正幸氏の講演「神社の歴史」:

漠然と、神社が日本式で、寺院が中国式であること
には気付いていました。今回、はじめて建築史学の
点からはっきりとその定義的な概念を承りました。

神社本殿は日本古来の宮殿様式で、掘立て柱、高
床式、横板壁、外開き扉、白木、切妻、檜皮葺き・柿
葺き・茅葺き、などを特徴としています。
寺院本堂は中国宮殿様式で、礎石建て、土間式、内
開き扉、丹塗り、寄棟、瓦葺き、などが特徴です。

さて、本殿建築以前の神の住処はいわゆる「神域」に
在りましたが、6世紀後期に寺院建築が流入しますと、
それに刺激を受けて7世紀後期に神社建築が始まりま
した。そのときに、日本古来の宮殿を復古的に造ったの
でした。

したがって、神の専有空間である身舎(もや、母屋)だ
けの神明造り、大社造りが最古の形態と言えます。し
かしながら、出雲大社は内陣を有するがゆえに、この定
義からは外れてしまい、本殿とは言い難いものであるこ
とが指摘されていました。
同時に、母屋にも人が入るようになり、神の空間が縮小
して行ったことも同様に示され、内陣の発生は宮殿に人
が住むようになってからであろうとも示唆されました。

次に、本殿に人間が出入りする庇が取り付けられます。
身舎に庇をつけた流造りと春日造りが出現しました。前
者は神明造りに庇をつけて平入り、後者は大社造りに
庇で妻入りとなります。年代的には8世紀です。

そして、神社本殿と寺院本堂という全く別物の二つの流
れが、鎌倉時代より融合し始めたのです。このように混
合して、判然と見分けのつかない建物を見慣れてしまっ
ています。これからは板壁が横に張っているかどうかを
見るだけでも、古式かどうかを判断できるわけですから、
定義をしっかり押さえることの重要性を今更ながらに実
感しました。

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