『兵法家伝書』(柳生宗矩) #22018/01/26 06:35

(無念無着)

萬の事をする時
何もなす事なき常の心にて
萬をする時
萬の事難なくするすると行く也

胸には何事もなくして
又何事なりとも成せば
易易と成る也
無心なる時
皆あたる也

無心とて一切の心なきに非ず
唯平常心也

(心を返す事)

一太刀打ったらば
打った所に心を置かず
打ってから心を引っ返して敵の色を見よ
間に髪を容れずに
是を行ふ

一の太刀と二の太刀との間へは
髪一筋入るべき間もなく
二重三重にたたみ打ちに打つ
太刀の急なることを云ふ也

(棒心の心持の事)

人の様々のわざ
皆心のわざなれば・・・
此身によく此心が座敷位をえて
在所に座りぬれば
萬の道自由也

此心を一度見つけて
悟り明けくる事大切也

悟らざる印は其身に顕はるべし
悟りたらば
一切のする業云ふ事その身の行ひ
すぐなるべし

すぐならずば
明らめたる人とは云ひ難しと也