シニア・ライフ心得#42024/01/13 05:53

from 本多信一『実年を生きる』

>老いを恐れぬ発想法

 1.個性を発揮して、生きる喜びの時を持つ

  競争を避け、共生し、助け合って生きて行くような生き方

  年に半分は山に入り、染色の材料を探しては和服の染め
  に熱中する方

  草花の研究者となった方

  仏典を易しく翻訳しようと、一日十時間も机に向かう方

 2.挫折、絶望を経て一人前に;人間観を深める

  人間は失敗や挫折の中で血まみれ涙まみれとなりつつ、
  人生を生きる要諦を掴むのであり、破綻のない人生、挫
  折、失敗なき人生では全く学べない。

    どうしようもない私が生きる(山頭火)

  私は、エリートの皆さん方から定年後人生についても相談
  を受けるが、彼らには共通して地位や知にすがる思いが
  あり、
  〈 ××なしには生きられまい・・・ 〉
  という、か弱い思いがあるもので・・・収入、仕事、健康を
  失ってもたくましく生きてやる、といった庶民の気概がな
  いから、人生の強者の人々が私にはむしろか弱く感じら
  れるのである。

  人間は裸で生まれ裸で死ぬ。その中間に何を持とうと、
  それは本質的なことではない。

  人間にとって唯一の本当の仕事は生き抜くことであり、
  イノチの最期の刻まで、すべてを失っても生き抜かなく
  てはならない。

  イノチは自分のものでなく、天から借り受け、時到れば
  返すものである。

  何かを持ったということが、それなしには生きられない
  気分を育んで来たのなら、その何かは危険なものに違
  いない。

  人のするさまざまないけないことには、それ自体の中に
  何らかの意味が含まれている。酒もギャンブルも意味が
  ある。

  人は老い行くに連れ、うまく行かない人生を持った人々
  の生き方を理解し、挫折した経験の持ち主から学ぶ姿
  勢を持ち、酒、たばこ、ギャンブルに凝る人々を否定し
  ないようにしたほうがよい。自分の人生の壁を乗り越え
  られなくなってしまうから。

 3.最後の悟りのチャンス;ボケを恐れないようにする

  人間とは生来汚いものであって、糞尿は自分の意思で
  その出口の筋肉を抑えているから外へ出ないだけのこ
  とである。筋肉を弛ませたら途端に排泄が始まる・・・
  そこに人間の「決して美しくない」本質というものがある。
  そうした垂れ流しの苦の代償に「区別なき心」を得るの
  だから、ボケは決して悪いものではない。それどころか、
  人生最期のプレゼントなのだとも思う。・・・

  「自分という意識を薄れさせよう、自分がウマクヤリタイ
   という心をなくそう」と努力を重ねて行こう」

 4.自己基準づくり

  「あなた、白髪が出て老いましたなぁ」

  → 「ええ、もう老人なんですよォ、なさけないですなぁ」
     (世間基準の反応)
  → 「人間の本質はカラダでなくココロであり、そのココロ
     が円熟に向かうことはいいことですよ」
      (老子様の思索)
  → 「老いることにより、実は、裸の人に戻ることは素晴
     らしいことで、自他の区別を忘れるボケ状態への到
     達は悟りに近づくいいことだ」
     (自己基準による思索)

  ありとあらゆる方面に、自己基準を作っておくことは実に
  有用だし、生きるとは自分の基準に拠って生きることが
  求められることだと思っている。・・・
  オリジナルな自己基準作りを果たしたご老人方は案外
  といるもので、・・・彼ら、彼女らは深い人間性への洞察
  力を内在させていて・・・人間の真実在の姿に正しい見
  方を持ち、正しい思いを持つなら、老年期の精神の美し
  さを目的として生き抜いて行こうではないか。

 5.四苦八苦の意味

  釈尊の深い洞察は、人間の味わう苦悩を四苦八苦と
  喝破した。
 
  生・老・病・死苦
  愛別離苦(愛する人と別れる苦)
  怨憎会苦(嫌な人と会って別れられぬ苦)
  求不得苦(求めるものが得られぬ苦)
  五慍盛苦(エゴの思いが盛んになり苦悩すること)

  例えば、怨憎会苦を味わわずに済ませるために、「嫌い
  な人を一人も作らない」ようにしたらどうだろうか?五慍
  盛苦に苦しまぬために、「自我を削り抜けば」どうだろう
  か?といったようなことを考えるわけである。

  悟るとは人の身から仏の身に解放されると考えて・・・
  ホトケとはホドケルということ、つまり自分を縛っていた
  ものがサラリとほどけて楽になる・・・それが悟り。

 6.熟年者のみりょくは精神性にある

  いつも静かに微笑している人になる

  たとえ演技でも「他のため」に一肌脱ぐ行動をする人になる

  年少者に決して威張らぬ人になる

  あまりにも低姿勢になったりペコペコする癖のない人になる

  もはや失うものの少ない人間として、他人のピンチに
  手助けできる人になる

  お金の魔力から卒業して、自分の財を世のため人の
  ためにラクに出せる人になる

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