ローマ・カトリック教会の説く正当防衛#72022/04/23 13:30


>現代における標準的な正戦論は、戦争にいたる
 正義(開戦法規 jus ad bellum )と戦争における正
 義(交戦法規 jus in bello )と先ずは大きく二分さ
 れ、それぞれのなかで、侵略の抑止などの正当な
 理由があること、それが最終的な手段であること、
 成功の見通しがあること、非戦闘員を攻撃しない
 こと、必要以上の攻撃をしないことなど、様々な具
 体的条件が考えられている。cf. カトリックの『カテキズム』

 こうした議論は、トマスが13世紀に議論した三条件
 の延長線上で考察されてきたものなのである。

 「もし或る人が自分の命を守るために、必要以上
  の暴力を行使したならば、赦されざることであろ
  う。これに対して、もし節度を保ちながら暴力を
  排除したならば、正当な防衛であろう。・・・
  さらに、他人を殺すことを回避するために、人が
  節度ある防衛行為を放棄することは、救いを得
  るために必要不可欠なことでもない。なぜなら、
  人は他人の生命よりも自分の生命をより多く配
  慮するように義務づけられているからである」
   (『神学大全』)

 現在でも、絶対平和主義と正戦論との間では様々
 な議論がなされている。キリスト教信仰に基づいた
 絶対平和主義の声も、決して小さいわけではない。
 しかしキリスト教主流派の歴史においては、やはり
 条件付きで戦争を肯定するのが基本的なスタンス
 として引き継がれてきたのである。

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