ローマ・カトリック教会の説く正当防衛#92022/04/25 13:40


>日本のキリスト教会による反省と謝罪

 1967年のイースターに、日本基督教団は、
 「第二次大戦下における日本キリスト教団
 の責任についての告白」(通称「戦責告白」)
 を発表した。それは、戦争の過ちを素直に認
 め、謝罪と反省の意を表明するものであった。
 だがそれは同時に、事実上の国の強制に
 よって生まれた日本基督教団の設立そのもの
 の問題に言及するもので、それを支持する側
 と批判する側との間で議論を巻き起こすものと
 なった。戦争責任を教団として謝罪することの
 意義について、また国策による教会の合同の
 意味を神学的にどう理解すべきかなど、論争
 の種を含むものだったからである。

 「教団設立とそれに続く戦時下に、教団の名
  において犯したあやまちを、今一度改めて自
  覚し、主の憐れみと隣人の赦しを請い求め
  る・・・」

 そして、今日多くの問題をはらむ世界の中に
 あって、現在の日本も再び憂慮すべき方向に
 向かっているとして「教団が再びそのあやまち
 を繰り返すことなく、日本と世界に負っている
 使命を正しく果たすことができるように、主の助
 けと導きを祈り求めつつ、明日に向かっての決
 意を表明する」ものと結ばれている。

 2015年にも、同教団は、「戦後70年にあたって
 平和を求める祈り」を発表した。また同年の、
 「在日大韓基督教会・日本基督教団平和メッ
 セージ」では、韓国や中国への侵略と植民地
 化政策を謝罪するとともに、安全保障関連法
 案への反対や、米軍普天間飛行場の辺野古
 への移設に対する反対などを表明した。
 
 日本聖公会も、1996年に、「日本聖公会の戦
 争責任に関する宣言」を公にした。
 「日本聖公会は、戦後50年を経た今、戦前、
  戦中に日本国家による植民地支配と侵略
  戦争を支持・黙認した責任を認め、その罪
  を告白します」
 同会はアメリカ、イギリス、カナダのなどの聖
 公会と繋がりをもつが故に、官憲の圧迫を受
 けたことも事実である。だが戦争の「加害者」
 として目を開くことはできず、「支那事変特別
 祈願式」や「大東亜戦争特別祈願」などを行っ
 ていた。そして戦後も暫くは、祈禱書に「天皇
 のため」の祈禱文を掲載し続けるなど、「天皇
 やその国家体制を肯定する祈禱書を用い続
 け、自らの姿勢を自覚的に正すことを怠って
 きました」と告白している。
 天皇の問題に加え、沖縄での住民虐殺、強制
 集団自決そして米軍基地の脅威など、短い
 文章にもかかわらず、かなり具体的な事柄に
 も触れている点が、日本基督教団の「戦責告
 白」との違いとして挙げられる。
 日本聖公会は、その後も原発問題を含む様々
 な社会問題に抗議や反対の声明を出している。
 2005年には小泉純一郎総理の靖国参拝に対
 する抗議、2012年には沖縄米軍基地へのオス
 プレイ配備に対する反対の声明、2015年には
 「安全保障関連法案に反対する緊急声明」や
 「戦後70年に当たって」などが出された。特定
 秘密保護法や集団的自衛権の行使容認、憲
 法改定への動きなどに対する懸念をも表明し
 ている。

 カトリック教会(日本カトリック司教団)も、
 1995年、「平和への決意――戦後50年にあたっ
 て」という文書を発表している。その中で、
 「私たち日本の司教は、日本人としても、日本
  の教会の一員としても、日本が第二次世界
  大戦中にもたらした悲劇について、神とアジ
  ア・太平洋地域の兄弟たちに赦しを願うもの
  であります。私たちは、この戦争にかかわっ
  たものとして、アジア・太平洋地域の二千万
  を超える人々の死に責任をもっています」
  (1986年、日本カトリック司教協議会会長白柳
  誠一大司教(於)アジア司教協議会連盟総会)
 を引用した上で、自分たちは加害者であったと
 いう事実を認めて謝罪するのであり、「人々に負
 わせた傷を償っていくという責任は、新しい世代
 の日本人にも引き継がれていかなければならな
 いものであることも、ここで新たに強調したい」と
 している。また戦後50年の間に経済的には豊か
 な社会を築き上げることができたが、その発展
 の裏には真の平和を脅かす「様々な非福音的な
 もの」が潜んでいることも見えてきたという。そ
 こで、「私たちカトリック信者には、それを識別し、
 預言者的な役割を果たしていく重い責任があり
 ます」とも述べられている。戦後70の声明につい
 ては既に触れた(#5)通りである。

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