「偽りの自己」2023/01/03 08:17

from 『ドーパミン中毒』

>「偽りの自己」とは、耐え難い外からの要求や
 ストレスに対する防御として作り上げる人格の
 こと(ドナルド・ウィニコット提唱)だ。
 彼は、偽りの自己を作ることで深刻な空虚感を
 味わうことになると言っている。

>SNSは現実からかけ離れた人生の物語を簡単
 に作り出せるし、もっと作り出すように促しさえし
 て、偽りの自己の問題を深刻化させている。

 現実の経験が理想からかけ離れていると、自分
 に距離を感じ、現実を非現実のように感じる。
 自分が作り上げた偽りの像と同じくらい偽物だと。
 それは恐ろしい感覚で、自殺念慮につながって
 しまうことが多い。
 結局、現実感を持てなければ、人生を終わらせて
 も大したことがないように思ってしまうのである。
 
>偽りの自己に対する解毒剤は、確かな自己で
 ある。徹底的な正直さは、そういう自己に辿り着
 くための手段だ。私たちを現実に結びつけ、この
 世界に実在していると感じさせてくれる。それはま
 た自分がついてきた嘘を維持するのにかかる
 認知的負荷を減らし、今、この瞬間に自発的に
 生きられるよう心のエネルギーを解放してくれる。
 
  「周囲をなんとかしようとすることを止めると、
   爽やかな気持ちになってきて、いいバラン
   スが見つかり、自発的に動いている自然界
   や自分の中にある自然とつながっていると
   いう感覚が持てる」
     (マーク・エプスタイン)