『ペスト』#8-12020/04/23 18:02


>(Fr.パヌルーS.J. 説教)

 皆さん、あながたは禍の中にいます。それは当然の報いなので
 あります。この災禍が初めて史上に現れたのは即ち、神の敵を
 打ち砕くためでありました。ファラオは永遠者の御心に逆らって
 おりましたが、その時、ペストが彼を跪かせたのであります。
 すべての歴史が始まって以来、神の災禍は心驕れる者共と盲
 たる者共をその足下に跪かせているのであります。今日、ペスト
 があなたがたに関わりを持つようになったとすれば、それは即ち
 反省すべき時が来たのであります。心正しき者はそれを恐れる
 ことはあり得ません。しかし邪なる人々は恐れ戦くべき理由があ
 るのであります。世界という宏大な穀倉の中で、仮借なき災厄
 の穀竿は人類の麦を打って、ついに藁が麦粒から離れるまで
 打ち続けるでありましょう。
 そこには麦粒よりもさらに多くの藁があり、選ばれた者よりもさら
 に多くの召し寄せられ者があるでありましょうが、しかもこの禍は
 神の望みたもうたものではないのであります。
 
 あまりにも長い間、この世は悪と結んでおりました。あまりにも長
 い間、神の慈悲の上に安住しておりました。ただ改悛しさえすれ
 ばよかった。どんなことでも許されていたのであります。しかも悔
 悛することにかけては、誰もが自信を持っておりました。いよいよ
 その時が来れば、きっと悔悛が感じられるに違いない。それまで
 のところ、一番楽な道は気の向くままに任せておくことだ。神の
 慈悲があとのところはいいようにしてくださるだろう。

 ところがです!
 
 そういうことは長く続き得なかったのです。

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