ミトコンドリア(覚)#4 ― 2022/02/18 06:45
from 『LifeSpan』(デビッド・A・シンクレア、他)
『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』(大谷肇)
※ 「サーチュイン」の語源は、特定の遺伝子や蛋白質を不活性
化させ、そのような遺伝子が細胞の生存を危うくする恐れの
ある不要な蛋白質を合成しないように眠らせる働きをするこ
とに由来する
>SIRT(サーチュイン)はNADを利用しており、カロリー制限や運動
によって増加する。
※ NAD : Nicotinamide Adenine Dinucleotide ニコチンアミドア
デニンジヌクレオチドミトコンドリア電子伝達系複合体1を構
成する補酵素
ブドウ糖、脂肪酸やアミノ酸などすべてのエネルギー基質は
分解されてアセチルCoAとなり、クエン酸回路を経てミトコンド
リアの電子伝達系に入ると、NADに水素と電子を受け渡して
NAD→NADHになる。
細胞内にブドウ糖、脂肪酸やアミノ酸が潤沢に存在
→(NAD/NADH比率down)NADフル回転によるエネルギーが
産生され、サーチュイン=オフ
逆に、エネルギー基質が枯渇(飢餓状態)
→(NAD/NADH比率up)NADはサーチュインを助け、老化を促
進する遺伝子を休眠させるように働く
>SIRT1は、細胞に対する種々のストレス、特に酸化ストレスから
遺伝子を守る
・染色体を安定化させ、傷ついた遺伝子を修復
・p53の働きを抑えて細胞老化を促進する遺伝子に近づかせない
・テロメアの損傷と短縮を防ぐ
・mTORの活性を阻害して、オートファジーを促進し、細胞を健康
な状態に保つ
※ p53 : 癌抑制遺伝子の一つ
>SIRT1は、血管の老化を抑制する因子でもある
SIRT1はeNOSと直接結合し、NO産生増→血管内皮機能改善
→血液循環改善→GLUT4を介するブドウ糖取り込み増加(糖尿
病改善メカニズム)
>SIRT1は、mTORの活性を阻害してオートファジーを促進し、性能
劣化のミトコンドリアを排除すると同時に、PGC1αを活性化して
ミトコンドリアの再生を促す→ATP産生効率を上げ、活性酸素産
生を減らす(少ない食糧を有効利用してエネルギーを得ることに
なる)。
>FOXO(転写因子)の活性化
FOXOは、細胞が生存するのに困難な条件下で活性化されるスト
レス反応性遺伝子で、活性酸素制御システムの司令塔として働
き、SODやカタラーゼなどの抗酸化酵素の発現を増加させて酸
化ストレスを軽減し、傷害を受けたDNAを修復する(発癌や動脈
硬化の抑制)。
また、PGC1αを活性化してミトコンドリアの再生を促す。
インスリン受容体/PI3K/Aktシグナル伝達系→FOXOなので、
食べればFOXO機能低下、逆に空腹では活発になる。
>アディポネクチン(抗加齢物質)分泌増
肥満者ではアディポネクチンの血中濃度は低く、生活習慣病や
様々な老化関連疾患の原因と考えられている。そこで、カロリー
制限や運動によって、内臓脂肪細胞を小型化させ、アディポネ
クチンの分泌を促せば、ブドウ糖や脂肪酸の代謝が活発になり、
やがて食べても太らなくなる。
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