ミトコンドリア(覚)#10 補-12022/02/25 08:06

from 『血管をよみがえらせる食事』
             (コールドウェル・B・エセルスティン)

>心臓病はこうして起こる

 エセルスティンは、患者一人ひとりのコレステロール値を
 150mg/dl以下に下げる特定目標閾値を設定した。その実現
 のために、栄養摂取プログラムとコレステロール低下薬を組
 み合わせる方法を採用した。

 コレステロール値が重要なのは、
 (イ)コレステロールは体のすべての細胞を覆っている細胞膜
   に不可欠な成分で性ホルモンの基本原料である。
 (ロ)体はコレステロールを必要としているため、これは体内
    で作られるので、私たちはそれを摂取する必要はない。

 ところが私たちは、牛や豚などといった赤身肉や鶏肉、魚、そ
 れに乳製品や卵、その他の動物性食品から、コレステロール
 を摂取しているため、過剰なコレステロールをとり込んでしま
 う。その上さらに、脂肪を摂取することは、体自体に過剰な量
 のコレステロールを製造させる。

 血管内皮(内膜)は体の単独最大の内分泌器官である。健康
 な動脈では内幕は滑らかで、遮るものがなく、血液が自由に
 流れる。ところが血液中の脂肪レベルが高くなると、すべてが
 変わリ始める。徐々に内皮、白血球、そして血小板(凝固を引
 き起す血液細胞)が粘っこくなって行く。そのうち白血球が内皮
 に付着し、ついにはその中へ侵入する。
 内皮の中で白血球は、高脂肪の食事によって酸化された増
 加中のLDLコレステロール分子を飲み込み、処理しようと試み
 る。この白血球細胞は、他の白血球細胞に援助を求めるた
 め、ますます多くの白血球がその現場に集中する。これらの
 白血球細胞は飲み込んだ悪玉コレステロールで満杯になり、
 ついには脂肪質の膿の泡(「プラーク」、「アテローム」、「粉
 瘤」)を形成する。古いプラークは瘢痕組織やCaを含んでい
 る。これらは大きくなるにつれ、動脈をひどく狭め、時には塞
 いでしまうこともある。
 ところがあなたを心臓発作の危険に晒すのは、この古い大き
 なプラークではない。殆どの心臓発作は、未だ若くて小さな脂
 肪質のプラークが、その外(「キャップ」)を破り、冠動脈の中
 に出血する時に生じる。

 ※ プラークが形成される時、およそ蜘蛛の巣ほどの厚さの
    一層の内皮によって覆われた、繊維性キャップがその
    てっぺんに発現する。

 コレステロールの処理作業を援助するために駆けつけ、もは
 や酸化されたLDLコレステロールで満杯となってしまった白血
 球細胞は、「泡沫細胞」と呼ばれる。この細胞は、プラークの
 キャップを徐々に破壊していく化学物質を作り始める。そのた
 め、キャップは弱くなり、最終的には、弱くなったキャップにか
 かる血流刺激で、このキャップが破れてしまうこともある。この
 破滅が起こると、プラークの内容物、すなわち膿が今度は血
 管の血流の中に流れ出し、これが血栓を形成してしまう。

 自然治癒力(キャップの破れを修復)→血小板を活発にさせる
 →凝固のカスケード現象スタート→凝血塊の自己増殖→冠動
   脈を塞ぐ
 →血流ストップ→心筋壊死(心筋梗塞)

 同様のプラーク形成のプロセスが他の血管で生じた場合でも、
 同様に危険である。・・・その上、プラークの一片(塊)が遊離
 して、血流中を運ばれ、最終的にはその発生源よりずっと離
 れたところの血管を塞いでしまうこともある。
 従来の心臓病学は、主として機械的な介入によってこの病気
 に取り組んできた。ステントによる血管形成術(動脈の拡張)、
 バイパス手術である。
 しかし、これらの治療法は、冠動脈疾患の緩和を目的とした
 ものであり、病気そのものを治すものではない。そのため、
 これらの手術効果は徐々に失われていく。患者は二度目の、
 あるいは三度目のバイパス手術を受けることになる。血管
 形成術fで広げられた動脈は、再び閉塞しがちだ。瘢痕組織
 が動脈を再び塞いでしまうため、入れたステントを再び広
 げなければならなくなるだろう。最近では、「薬剤溶出ステント」
 (ステント挿入で生じる損傷に対する自然治癒反応を低下さ
 せる薬剤がコーティングされている)が開発されている。だが
 このステントも、内皮が傷つけられたところで血栓ができるた
 め、数年後には突然詰まってしまう可能性がある。また、
 コーティングされている薬剤は内皮の治癒力をも妨げてしまう。

>もっと良い治療法は、この病気の根本原因に取り組むことだ。

   総コレステロールを値<150mg/dl
LDLコレステロール値< 80mg/dl

 上記のように下げるために、プラントベースの栄養摂取プロ
 グラムに従えば、脂肪やコレステロールをを冠動脈の中に
 堆積させることはできない。
 コレステロール値を安全な低いレベルにまで下げるために、
 コレステロール低下薬が必要な場合もある。だが、薬だけが
 解決策ではない。正しい栄養摂取は長期的に見てあなたの
 命を救う重要な鍵である。
 正しく食べることはコレステロール値を下げるのに役立つば
 かりか、更なる驚異的な効果を齎してくれる。